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オープン講座

<文化講義科・文化ラボ担当 氷川まりこ>

2018年からスタートした「オープン講座」は、青山きもの学院の在校生・卒業生だけでなくご友人やご家族、
女性だけでなく男性も、どなたでも参加していただける1回完結の講座です。
2017年に新設した「文化講義科」やその修了生による「文化ラボ」がテーマとしている室町期の芸能・芸道・文化。
さらに江戸時代にまで視野を広げて、第一線でご活躍の方を講師にお迎えしています。

第5回オープン講座

人を幸せにする「狂言の魅力」

開催日

2019年2月21日(木)
15:30~17:30、18:30~20:30

次回のオープン講座は、人気急上昇中の若手狂言師、野村万之丞さんの登場です!
万之丞さんは、江戸時代の半ばから続く狂言の家に生まれました。
狂言師として第一線の舞台で活躍する一方、素顔の万之丞さんは大学で日本文学を学ぶ学生でもあります。
昨年の大河ドラマ『西郷どん』では、明治天皇を演じ、そのノーブルで凛とした姿と演技に注目が集まりました。
講座では、狂言という芸能が歩んできた歴史やその成立の背景を踏まえながら、狂言を見るのに役立つ基本をしっかり学びます。
狂言の主人公の多くが「太郎冠者」ですが、そもそも太郎冠者って何者?といった疑問を解決していきます。
そして、狂言独特の“人を幸せにする”力について考え、650年にわたって受け継がれてきた
普遍の人間ドラマとしての狂言の魅力をさぐっていきます。
また、3月9日(土)に開催される、『立合狂言会』の見どころについてもお話をうかがいます。
さらに、万蔵家所蔵の肩衣などもおもちいただいて、間近でご覧いただく予定です。

場 所

青山きもの学院 青山校

住 所

東京都港区南青山5-7-17 小原流会館5階

TEL

03-3409-1051

参加費

3,240円(税込)

お申込方法:ご参加ご希望の方は、各校受付までお申し込みください。
お申込締切日:2月16日(土)(※締切日以降のキャンセルはできません)

過去のイベントレポート

伊勢半本店紅ミュージアム様の「江戸化粧の再現~半元服の化粧~」【2018年10月30日】

今回講師としてお迎えしたのは、青山きもの学院の青山校から徒歩5分ほどの場所にある「伊勢半本店 紅ミュージアム」学芸員の立川 亜理沙(たつかわ ありさ)さん。伊勢半本店は、江戸時代から続く最後の紅専門店です。立川さんは、お化粧の歴史や近世以降の紅屋に関する調査・研究を専門として、江戸時代の化粧風俗や美意識、工藝をテーマにした展覧会を企画しています。

白粉を均一に伸ばしたあと、肌に半紙を当てた上から刷毛でなぞっていきます。

手ぬぐいを使って目元だけ白粉を少し落として立体感を出します。

「引き算のお化粧」
事前の打ち合わせの段階で、新田学院長からうかがった江戸化粧は「引き算のお化粧」が大きな特徴とのことでした。けれど、江戸時代のお化粧と言われて、多くの人は、「引き算」とは真逆の、いわゆる「白塗り」の厚化粧をイメージするのではないでしょうか。さらにサブタイトルの「半元服」も初めて目にする言葉です。
そうして迎えたオープン講座の日。前半は資料を使っての講義、後半は日本髪を結って黄八丈を思わせる着物を着たモデルさんに登場いただき、実際のお化粧の手順の実演です。
講義では、文献資料から「江戸時代のお化粧がどんなものだったか」を紐解いていきますが、ひとくちに「江戸」といっても、半ばまでとそれ以降とでは、記述の傾向に変化がみられるといいます。
江戸時代前期から中期までは、「白粉(おしろい)の塗り方は~であるべき」といったように、表現が観念的な「化粧観」ですが、後期になると「白粉の塗り方の手順」や「紅の塗り方」といったように、非常に具体的な記述で、ハウツー本の様相を呈してきます。なかには「鼻が低い人が高く見せるための化粧法」といったテクニックの紹介があったりもして、より美しく見せたいという女心はいつの時代も変わらないのですね。現代の美容の原点がここにある、という立川さんの言葉に、誰もが納得です。
白と黒と赤のコントラスト
現代のお化粧は肌色に近いファンデーションに、さまざまな色を用いますが、江戸時代の化粧の色は、白粉の白、鉄漿(おはぐろ)の黒、唇の紅、3つだけです。
江戸時代の白粉の主成分は鉛(なまり)で、塗るときの一番のコツは、水を加えて丁寧に解くことで、肌にのばす際にも指でゆっくり丁寧に。そうすることで、化粧崩れしにくくなり、お雛様の顔のような、ツルンとなめらかな肌感になるのだそうです。
指でしっかりとのばした後、刷毛をつかってさらに均一にのばして、ここで半紙の登場です。肌に半紙を当てた上から、再び刷毛でなぞっていくと――。あら不思議。肌の上の余分な白粉が半紙に吸着して、白粉の下からうっすらと肌色がにじむ、やわらかな肌に。なるほどこれが「引き算のお化粧」たる所以(ゆえん)だったのです! さらにTゾーンに粉白粉をポンポンとのせ、半紙で扇いで余分を飛ばし、手ぬぐいで目元だけ少し白粉を取り除くことで、微妙な立体感が生まれます。
そして、鉄漿。当時、鉄漿は既婚女性の習わしでした。さらに子供が生まれると眉を剃り、これをもって「本元服」としたのです。そこで、鉄漿だけのお化粧を、本元服の前段階という意味で「半元服」と呼んだのだそうです。半元服のお化粧では、植物の色素やロウソクの煤を用いた眉墨でアイブロウも施しました。
最後の仕上げは唇の紅。究極のポイントメイクとして、薬指にとった紅を下唇の中央にだけそっとのせます。小さい面積に鮮明な色をおくことで顔の印象がキュッとしまります。現実的には、紅花から採れる本紅は大変に貴重なものだったため大量に用いるのを控えたとも。意外なことに、この傾向は江戸時代以降も引き継がれて、唇全体に紅を塗るいまのお化粧は、第二次世界大戦以降のもの、なのだそうです。

陰翳礼讃の美しさ
夜も照明の光があふれかえる現代とは違い、江戸時代の灯りは、ほんのりと人や物を浮かび上がらせるものでした。現代の美意識で美しいとされている白く輝く歯は、そうした灯りの元ではどう映ったでしょうか。
江戸化粧が本領を発揮するのは、光と陰とがゆらめき合うなかでこそ。やわらかく“ふうわり”と浮かびあがる女性の美しさは、まさにこの国独特の陰翳礼讃の美そのものだと、江戸化粧は教えてくれました。

「江戸化粧」は、ほのかな灯りのもとで、やわらかな美しさをひきだします。

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